
ネットスーパーの普及によって「生鮮食品は実店舗で買うもの」という固定観念はなくなりつつあります。ネットスーパーは、子育て世帯や高齢者にとって、負担を軽減できる便利なサービスです。しかし、ネットスーパーを利用するうえでは、メリットだけではなくデメリットも把握しておくべきです。本記事では、それらについて詳しく紹介します。
そもそもネットスーパーとは
ネットスーパーとは、利用者がインターネットを通じて商品を注文し、近隣の店舗や配送センターから自宅に届けてもらえるサービスです。主に食料品や日用品を取り扱い、大手スーパーの多くがこのサービスを提供しています。
もともとインターネットの普及とともに拡大していたネットスーパーは、2020年以降の新型コロナウイルスの影響により急速に利用が広がりました。外出制限の中、自宅にいながら生活必需品を入手できる手段として重宝され、コロナ収束後も継続利用する人が増えています。
日本でのネットスーパーの始まりは2000年の西友による「西友ネットスーパー」とされ、翌年にはイトーヨーカ堂が「アイワイネット」を開始しました。コロナ禍では、イオンリテールが導入したドライブスルー形式の受け取りサービスも注目され、配達時間帯の混雑や外出都合に対応する新たな方法として支持を得ました。
一方で、ネットスーパーには課題もあります。配達にかかる人件費や車両維持費などのコストが高く、利用者負担を抑える工夫が求められています。また、商品を実際に手に取って確認できない点も課題で、質感や香り、重さなどの感覚的情報が伝わりにくいという欠点があります。
こうした課題の解決には、配送の外部委託やAI技術の活用が有効とされ、効率的な運営とリアルな情報提供が今後のカギとなります。
ネットスーパーを利用するメリット
ネットスーパーには多くのメリットがあり、特に日々の買い物を負担に感じている人々にとって非常に便利なサービスです。
重い・かさばる商品を購入しやすい
ネットスーパーでは、注文した商品を自宅まで配達してくれます。そのため、水や米、トイレットペーパー、ティッシュペーパーといった重さや大きさがネックとなる商品でも、気軽に購入することができます。
とくに、重いものを持ち運ぶのが困難なお年寄りや小さな子どもを連れた家庭、障害のある方にとっては大きな助けになります。また、まとめ買いをしても自宅まで運ぶ必要がないため、効率的に買い物を済ませることができます。
購入額が明確
ネットスーパーでは、商品を選ぶごとにカゴに入れていき、最終的な合計金額を画面上で確認することができます。そのため、予算を意識しながら買い物ができ、金額がオーバーした場合は商品を削除して調整することも可能です。
これにより、実店舗でありがちな衝動買いを防ぐことができ、無駄な支出を抑えることにもつながります。節約を意識する人や家計管理をしている家庭には、非常にありがたい機能です。
出かけずに必要なものが手に入る
日用品や食料品は生活に欠かせないものですが、育児や介護、体調不良などで外出が難しいときには、買い物が大きな負担になります。その点ネットスーパーなら、スマホやパソコンから必要な商品を注文すれば、自宅の玄関まで届けてもらえるため、外出の必要がありません。
ネットスーパーを利用するデメリット
ネットスーパーは非常に便利なサービスである一方で、いくつかのデメリットも存在します。
実物を見ることができない
とくに大きなデメリットとして挙げられるのが、実物を見ることができない点です。加工品や調味料など、大量生産されて品質や形がほぼ一定のものであれば問題は少ないですが、生鮮食品となると話は別です。
野菜、果物、肉、魚介類などは、色合いや大きさ、形状、鮮度などに個体差があり、購入者が自分の目で見て選びたいと感じる商品です。しかしネットスーパーでは、これらの商品をスタッフがランダムに選んでピックアップし、配達する仕組みです。
そのため、消費者のイメージとは異なる商品が届くこともあります。例えば「もっと熟れているバナナが欲しかった」「もう少し脂の乗った魚が良かった」など、細かい希望に応えるのが難しいという点が課題です。
事前の計画性が必要
もうひとつのデメリットは、事前の計画性が必要な点です。ネットスーパーはその場で商品を手に取って確認しながら買い物するスタイルではないため、あらかじめ何をどれだけ購入するかを決めておく必要があります。
たとえば、その日の夕食に必要な食材を考え、レシピに沿ってリストアップするなど、計画的な買い物が求められます。さらにネットスーパーでは、店頭での特売品や目玉商品を見てから献立を考えるという柔軟なスタイルはとれません。そして、買い忘れたものに気づいた時も簡単に追加注文ができない場合があります。
まとめ
ネットスーパーは、自宅にいながら手軽に食料品や日用品を注文・受け取りできる便利なサービスです。とくに、重い荷物の運搬が難しい高齢者や子育て世帯にとってはありがたいサービスでしょう。購入額を事前に確認できるため、無駄遣いの防止にも役立ち、忙しい日常をサポートしてくれます。一方で、実物を確認できないことや、計画的な注文が必要といったデメリットもあります。メリット・デメリットを理解し、自分の生活スタイルに合わせて上手に活用することが重要です。